2021年5月19日水曜日

肉体と宇宙

 我々の肉体の構成原子は、その重量比で、ほとんどが恒星末期の超新星爆発によって宇宙に散らばったものからできている。炭素にしても酸素にしてもそうである。恒星が最初は水素の核融合でヘリウムを作り、その水素をほとんど使い尽くする今度はヘリウムの核融合が起こる。そうして、炭素や酸素も作られ、大きい恒星は、結局、鉄を作った段階で核融合が止まり超新星爆発に向かうというシナリオだ。それが宇宙に散らばると星間ガスになり、それが集まって恒星を中心としたシステムが作られ、そのように作られた惑星の一つが地球なのである。

したがって我々は恒星の成れの果て、恒星の爆破片からできているということになる。また我々が死ねば原子的存在に帰り、他の物質を構成したりしながら、結局はまた膨張した太陽に飲み込まれ、その屑となっていくのだろう。

我々は宇宙に漂い続ける物質の、吹き溜まりのようなものである。ただ、その吹き溜まりは宇宙的物質の存在という意味だけではなく、精神的作用を持っていて、この宇宙に秩序を作る力を持った存在でもある。そして、その吹き溜まり自身を認識する意識を持っている存在でもある。そうしてせっせと秩序を作り上げていく意思は、自己意識であり物質的存在に対峙するものとなる。その意味で人間は根源的に二重化した存在なのである。

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