『現代古典派経済学』

上智大学のサイトに公開していた『現代古典派経済学』を、再度組版し直して以下のところからpdfファイルをダウンロードできるようにした。(2021年5月22日リンク改訂)(Googleからのダウンロードですが、アカウントを持っていなくても、またログインしなくてもダウンロードは出来ます)

ダウンロード

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来歴(本文扉に記載したものを再掲)

本書のオリジナルは、1989年5月20日に書かれた。今回、大学の退職に伴ってウェッブサイトを閉じたので、あらためて広くダウンロードできるサイトに掲載することとした。ただし、これまで掲載していたものは、オリジナルのテキスト版で、数式がテキストで書かれているものだったために、多くが正しく読めないものになっており、また、図表は掲載されていなかった。

今回、再公開にあたって、latexで組版し、数式を美しく記載することにした。また、図表については、オリジナルの手書きのものが失われてしまっていたために、改めてドローツール(inkscape)で書き直した。ただし、数式については、できるだけ正しく転記するよう心がけたが、思わぬ記載ミスがある可能性が高い。また、図については、オリジナルで、どのようなものを書いたか全く記憶にはないために、本文の記載を追いながらイメージし描いたが、これが大変困難な作業で、適切なものになっていない可能性を排除できない。描くことを諦めようかとも思ったが、私が諦めたら誰も再現できないと思いなんとか描いた。これらについては、読者諸氏の批判を歓迎したい。

また、基本的に内容はオリジナルを尊重した。その上で、明らかな誤記はただし、内容の理解の上でどうしても必要と思える記述を書き加えた。書き加えたところには、可能な限りそのことがわかるようにしている。

数式や図の多さから、改訂には相当の時間と労力を要した。しかし、改めて読んでみると、若い頃の自分の迸る思いが随所に現れていて小気味良く、また、個人的に見渡す限り、世間に類書も見当たらないので意味があるのではないかと思い、なんとか最後まで改訂の作業を続けられた。

なお、本書の、さらに元になった原稿は、もともと神戸大学経済学研究科に博士の学位論文として提出する予定だった。その原稿を当時の指導教教授の一人であった置塩信雄教授にお送りしたところ、長大なコメントを2回の手紙でいただいた。当時岩手大学に在職していたが、コメントをいただいたのちに、そのコメント内容の理解のために、先生と神戸で面談した記憶もある。しかし、そのコメントの全てに応えようとしているうちに、自分の関心が、経済学を環境問題に応用することに移っていき、結局、この原稿とはほぼ無関係の、その後の研究をまとめた「環境とエネルギーの経済分析」という著作を学論文として神戸大学に提出して、博士号をいただくことができた。その頃は、もう、置塩先生は神戸大学を退職されていた。

学位論文としての用がなくなった本論稿は、その後「現代古典派経済学」と題して編集し直した。しかし、そこまでで作業は止まり、著作として公刊されることもなかった。

その後、この原稿は、荒っぽくウェッブには公開されていたが、上記に書いた粗悪な形式の理由で、誰も最後まで読まなかったはずだ。いや、これに限らず、今日までに公開した著作や論文のほとんどについて、広く社会の共感や理解を得たものはなかった気がするがる。したがって今回の改訂をふまえても、またそうなる可能性は十分あるが、もし一人でも全体を見て何か感じるところがあった方があれば、著者としてはもうそれで本望である。

2021年4月3日 鷲田豊明 記す


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