2021年3月27日土曜日

生き残る魂

 人の肉体は死んでも魂は生き残る。宗教的な霊魂の話をしているのではない。ここでいう魂とは、人の心といっても良いが、心というものの定義がまた複雑になる。私のいう魂とは、その人に対する他者に共有されている思いであり、それらの共鳴である。だから、実体あるもので、幽霊ではない。

したがって、そんな魂は死んだのちには不変なものになるかというと、そうではなく変化し、また生き続けると思う。私の心にも、多くの死んだものたちの魂が生きている。

生き残っているものにとっての魂は、それはあるだろうが、死ぬ側にとっては無駄な議論だと思うかもしれない。しかし、例えば仮に私の完全なクローンがいて、そちらは私の死後も生き残ったとする。一見、ああ、自分が生き残っていると思うかもしれないが、死ぬ側の私にとっては、死という事実から逃れるわけではない。それでも、私は私の死後も生き続けるなどという言い方ができなくもない。魂も同じだ。そのような意味で、クローンが生き残るのと同じである。肉体の死によって全てがこの世界から消失してしまうわけではない。

死者を理解することは、その魂を理解することだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

将軍と兵士

 歴史上には無数の戦争の記録がある。歴史の区切りは戦争に彩られていると言ってもいい。 そこでは将軍の下、無数の兵士が武器を持って戦い、そして死んでいった。記録に残る歴史には、兵士を死なせた将軍のことは書かれているが、死んでいった数えきれない兵士のことは、ほとんど書かれない。もちろ...